平成アニメ史1989-1998編:『天地無用!』から『エヴァ』まで

IGN JAPANによりますと、

『天地無用!』で戻った平成アニメの世界で
『エヴァ』が社会現象になり
『lain』が密かに話題になり
『もののけ姫』が記録を作った1989-1998

2019年の5月1日から元号が令和に変わります。
1989年1月8日から30年と少し続いた
平成という年号の中で、
日本という国はさまざまな変化を見せました。
バブルが弾けて景気が悪くなる一方で
インターネットが発達し、
あたらしい産業が生まれてきました。
紙に印刷するのではなく、
ネットで情報を発信しているウェブメディアの
登場もそんな変化のひとつだそうです。

だったらアニメーションは変わったのでしょうか。
絵を動かして物語を見せるという基本はたぶん、
変わっていませんが作品の数はその前の30年とは
比べものにならないほど増えました。
そして作り方も内容も
その時々によって変わっています。
3DCGの登場とネットでの配信などはそんな変化の
最たる2つではないでしょうか。
時代が平成から令和と変わることもあって、
いつもより大型ぶりが増したこの連休の時間を借りて、
平成という時代にアニメーションにどんなことが
起こっていたのかを振り返ってみたいと思います。

とは言え、あまりに膨大な作品数となりますから、
あくまでも筆者の観測した範囲、
そして感じたことをメインに綴っていきます。
異論もあれば誤解との指摘もありそうですが、
そこは読んだ人がだったら自分にとっての
平成アニメとは何だったのかを考える
きっかけにしてもらえれば幸いです。では開幕。

さっそくですが、
平成のアニメ史は『天地無用!』から始まりました。

え? それって1995年4月から放送が始まった
テレビシリーズで、
1992年からリリースされているOVA版の
『天地無用!魎皇鬼』をテレビ向けにしたもので、
目新しくもないしそもそも平成最初の
アニメーションではないでしょ? 
というツッコミは当然と歓迎した上で、
ご免なさいと謝ります。
本稿でメインとなるのは、
わたしという人間が観測した
“平成アニメ史”ですので。

どういうことかというと、
この『天地無用!』までしばらく、
アニメを見ることから遠ざかっていました。
就職して働いていたからです。
平日は朝から夜まで仕事仕事仕事。
そして土日は洗濯に読書にたまの映画鑑賞
といった暮らしの中に、
テレビアニメを見る時間は
ほとんどありませんでした。

まったく見ていなかったという訳ではなく、
「週刊少年ジャンプ」で連載されていた
井上雄彦のマンガが原作で、日本に、
バスケットボールのブームを起こしつつあった
『SLAM DUNK』とか、
こちらも一大ブームとなっていた
『美少女戦士セーラームーン』は見ていました。
というか、『セーラームーン』については
直前まで放送されていた『きんぎょ注意報!』が
面白すぎて、どうして終わってしまうのか、
そして新しく始まるのがセーラー服の美少女戦士とは
どれだけ世間に媚びているんだと、
後のヒットをまるで思わずに批判的な目で見ていました。

そうした、
夜に放送されていて仕事から帰って見られる
メジャーなシリーズには目を向けていられたのですが、
家にビデオがないため夕方のアニメを録画して見たり、
OVAのビデオやLDを買ったり借りたりして
見る状態にはありませんでした。
そうした生活が『天地無用!』で激変したのです。

テレビ東京で放送されたのは日曜の午後6時半からで、
仕事がない休日のそれも夕方だったから、
普通に家に居て見られました。
そして、
見た印象は懐かしくて新しいといったものでした。

柾木天地という少年のところに鬼とか
宇宙のお姫さまとかその妹とか
マッドサイエンティストとかが押しかけ、
同居めいたことを始めるという設定が、
懐かしの『うる星やつら』を思い出させました。
そうしたラブコメの基本を押さえつつ、
宇宙へと飛び出していくような展開の派手さもあって
引きつけられました。
長岡成貢のピコピコとした音楽にも惹かれました。

こういうアニメが今、
出てきているんだと気づいたことでぐるりと
周囲を見渡したら、あるわあるわ、
OVAからテレビシリーズからメジャーなマンガ誌原作で
社会的なブームになっているものとは違ったアニメが
たくさんありました。
中学高校大学と、
アニメ誌だって読み劇場のアニメーション映画の
封切りには行列をして開場を待ったくらいのファンでも、
就職という壁はアニメを無縁のものと
させてしまっていました。

それを引き戻させた。
あるいは無限の邪悪へと引きずり込んだ?
どちらにしても、ここでアニメに戻ったことが
今に至るアニメ漬けの原因となっています。
『天地無用!』が平成アニメ史の始まりというのは、
そういう理由からです。

これでは平成アニメ史にならない、
というのはもちろん承知していますから、
遡って1989年からのアニメを考えてみましょう。
元号が昭和から平成へと切り替わるあたりで、
盛り上がっていたのは
『機動警察パトレイバー』らしいです。
推測で言うのは、「週刊少年サンデー」誌上での
ゆうきまさみのマンガ連載は読んでいましたが、
アニメはOVAには手を伸ばせず、
テレビシリーズも当時住んでいた場所では
放送がなくて見られなかったからです。

それでも伝わってくる評判と、
マンガそのものの面白さから
平成という新年号に入った最初期を代表する
アニメだとくらい、『機動警察パトレイバー』の
ことを言っても良いのではないかと思っています。
後、押井守監督による映画が2本つくられ、
1993年に公開された
『機動警察パトレイバー2 the Movie』は、
現実を脅かす虚構を描く押井守という
クリエイターの特質が大いに発揮されて、
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』
に負けない信者を得ました。
1995年公開の映画
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
を手がけさせて、
今に及ぶ“世界のオシイ”の礎となったとも言えそうです。
『パトレイバー』からは平成のアニメ史を彩る
いろいろなものが生まれたのです。

テレビシリーズに目を戻すと、
『うる星やつら』を終えた高橋留美子による
『らんま1/2』がまさに平成元年の
1989年にアニメ化されて、
林原めぐみが女らんまの声で最初の活躍を始めていました。
後に『スレイヤーズ』のリナ・インバースや
『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイといった役で
トップ声優となり、今も走り続けている林原めぐみは、
その意味で平成の申し子ということになります。

キッズが熱中していそうなアニメとしては、
芦田豊雄がキャラクターデザインを手がけた
『魔神英雄伝ワタル』や、
いのまたむつみがキャラクター原案の
『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』
といった作品が挙がるでしょうが、
このあたりもリアルタイムで触れてないので、
今に伝わる評判から人気だったと推測するのみです。

そうした状況にあっても、
評判が聞こえてくるのを避けられなかったのが
1992年3月から放送が始まった
『美少女戦士セーラームーン』のシリーズです。
最初こそ静かに滑り出した印象で、
こちらも気にしていませんでしたが、
ヒロインの月野うさぎがひとりで頑張っていた
展開に水野亜美が加わり、
ほかのセーラー戦士たちも参加して戦隊ヒーロー的な
シチュエーションが見えてくるに連れて人気も沸騰。
女の子たちの憧れとなり、バンダイの玩具が大いに売れて、
買うお父さんたちへも影響が及んで
一種社会現象となりました。
その人気ぶりは、
シリーズが5年も続いたことからも明らかでしょう。

同じ頃、男子向けでは「週刊少年ジャンプ」に
連載されていた冨樫義博のマンガが原作の
『幽☆遊☆白書』や、前にも触れた『SLAM DUNK』の
テレビアニメを見ていました。
どちらもマンガが大ヒットしていてアニメも
人気となった作品ですが、
共にアニメが終了して連載が終わる中で
「週刊少年ジャンプ」自体の影響力も下がり、
「週刊少年マガジン」に発行部数を抜かれてしまいます。

とはいえ、
そこはジャンプですから『NARUTO -ナルト-』や
『ONE PIECE』といった人気連載を立ち上げ、
アニメ化もしてヒットに結びつけています。
最近だと『僕のヒーローアカデミア』や
『約束のネバーランド』がテレビアニメとなって
単行本ともどもヒットしています。
連載とアニメの連携は、
平成が令和に変わっても続きそうです。

テレビを点ければ見られるテレビシリーズとは違って、
OVAについてはほとんどウオッチが及んでいません。
平成に年号がかわってすぐに出始めた、
『機動戦士ガンダム』シリーズで初のOVAとなる
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』
についても、
リリースの情報くらいしか及んでいませんでした。
非戦闘員のアルという少年を主人公にして
戦争の苛烈さを見せた作品は、
ガンダムシリーズでも異色の展開として今も
根強いファンを持っています。
真の意味での平成アニメ史のOVA編は、
この『0080』から始まったと言えるのかもしれません。

ガンダムほどのメジャーなシリーズなら
少しは聞き及んでいましたが、
それ以外の索引となると、
中古のLDやビデオを探して秋葉原をさまよった時に、
実にさまざまな作品がOVAとして出ていたことに
ようやく気づいたくらいでした。
かつて「週刊少年ジャンプ」で連載されて
日本古代史への興味を子どもに受け付けた
諸星大二郎の『暗黒神話』、
かつて「週刊少年サンデー」で連載されて
高校の文化系部活のユルさに憧れさせた
ゆうきまさみの『究極超人あ〜る』なども
OVA化されていたことに、
原作マンガが大好きだったくせに気づきませんでした。

後に『新世紀エヴァンゲリオン』を作る
ガイナックスによる『おたくのビデオ』もこの頃です。
テレビではシリーズにできないけれど、
ファンがいて出せば30分とか1時間といった
長さのアニメが5000円から1万円といった値段で
数千枚から多くて数万のケタで売れた時代。
作る方も企画を探して作ろうということになったのでしょう。
そうした中から“平成アニメ史の原点”と無茶を書いた
『天地無用!』の大元となるOVA『天地無用!魎皇鬼』が
登場します。
1992年にパイオニアLDCから第1期のリリースが始まり、
第2期やテレビシリーズ、
劇場版へと発展していくタイトルとなりました。

制作したAICは他にも、『神秘の世界エルハザード』、
『バトルアスリーテス大運動会』といったアニメを
OVAやテレビで展開し、
パイオニアLDCというレーベルの名前とともども
アニメファンにその存在を見せます。
後、自分という人間のアニメ史に最大規模の衝撃をもたらす
『serial experiments lain』に
最初から目を向けざるを得なかったも、
ここでパイオニアLDCの名前をすり込まれたからでしょうか。

そんな『lain』の衝撃を前にして、
アニメーション界では『美少女戦士セーラームーン』すら
凌駕するような社会現象を引き起こすアニメが登場します。
『新世紀エヴァンゲリオン』です。

白状すると、
『新世紀エヴァンゲリオン』の放送をリアルタイムでは
見ていませんでした。
水曜日の午後6時半からという放送時間の番組を、
普通に家で見るのは勤め人には無理でした。
VTRもまだ持ってなくて、
録画で追いかけることもできませんでした。
それでも、当時はパソコン通信だったでしょうか、
インターネットの掲示板だったでしょうか、
話題として盛り上がっていることは確認できました。

伝説のDAICON FILMを手がけ、
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』のために
会社として立ち上がったガイナックスが関わっていた
『ふしぎの海のナディア』の評判も重なって、
面白いに違いないという確信も乗って成り行きを眺めつつ、
フィルムブックというテレビアニメの映像を、
マンガのコマのように並べてストーリーを紹介する
本も買ってストーリーへの興味、
ビジュアルへの関心を燃やしていきました。

映像を見ないで情報だけでアニメを楽しむ。
そんな楽しみ方が、パッケージが今ほど安くなく、
ネット配信もなかった時代には普通だったのです。

放送に映像が間に合わず、
ありあわせの素材でセリフだけ録って重ねて出しただけ
だろうと思われた衝撃の最終回で、
『エヴァ』はアニメファンに見放され、
沈んでいくだけかと思われましたが、
結果はまったく逆でした。
元より作中に散りばめられて解釈を誘った
宗教めいて難解なワードがあり、
特撮の光景をアニメーションの中に取り込んで見せた
映像的な技もあって見る人たちの関心を
最高潮まで高めていきました。

そこにぶつけられた自己啓発セミナーのような対話劇、
それ自体をメッセージとして解釈しようとする
向きもあれば、
どうして解釈から逃げたのだと憤って正しい展開を
求める向きもあって、
スケジュール調整に失敗した凡作として沈んでいくことが
赦されませんでした。
年度が替わってカルチャー誌が取りあげるようになって、
状況はもはや社会現象となりました。
劇場版が作られ、
それすらもスケジュールが間に合わず
春と夏の上映に分けられるハプニングを創出。
そのまま30年に及ぶ平成を名実ともに代表する
タイトルになっていきました。

後、アニメーション自体は映画が終わっていったんは
下火になりますが、グッズが出れば購入する人があらわれ、
パチンコパチスロといった遊技機に使われて
アニメを見ていなかった人からも面白そうな
ストーリーだと関心を抱かれ、
そして新劇場版の登場へと至って現在まで
その人気は続いています。

平成から令和へと元号が変わって
ようやく作り上げられる
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は
どんな帰結を見せるのでしょう。
平成のテレビシリーズと同様の衝撃が起こり、
忘れられない作品となって宮崎駿監督以上に
御大と化した庵野秀明監督が、
幾度めかのエヴァを手がけるのかもしれません。
エヴァは間違いなく平成という時代が生んだ
最大のインパクトを持ったアニメです。
世間的には。
個人的には違いますが。

それは『serial experiments lain』があったからです。
「これはもしかしたらとんでもない出来事に
立ち会っているのかもしれないと、
朝起きて録画しておいた『lain』をビデオで見ながら、
そう思って忙しい時間にも関わらず支度中の手が止まる」。
この頃、すでに購入していたビデオで朝に見た『lain』に
相当な驚きを感じて、自分のウエブ日記にこう書きました。

「押し殺したような展開、
思わせぶりなセリフや文字が時に説明不足との不満を
招くかもしれないが、むしろ説明がなされていない故に、
次にいったい何が起こるのか、どこへと進んでいくのかを、
抑制された描写から推理しつつ裏切られるのを期待しつつ、
爆発しそうな心を抱えて楽しみ
ながめていくことができそうだ」。
そんな感想からも、分かりやすさとは正反対の、
想像力や考察力を喚起させるアニメだったことが伺えます。

少女たちが普通に暮らす世界があって、
そんな人々がアクセスをして楽しむネットの世界があって、
そこに生まれた何かが現実世界に影響を与える。
ネット社会に対して何となく抱いているモヤモヤとした感情を、
クールな絵と展開によって描いてネット世代を引きつけました。
目に見えるもの、
音に聞こえるものや逆に音として聞こえてこない何かを感じ取って、
そこにどんな意図が込められているのかを想像して、
考えて補って推察していく必要も、
吸引力となって視聴者を見入らせました。

1999年に刊行された『serial experiments lain』の復刻版が最近になって発売された
(編集部の今井の私物)。

決して大ヒットした訳ではありませんが、
強烈なインパクトを残して3カ月の放送を終えた後も、
『lain』は静かに多くの心を捉えて現代まで認知が続いています。
『エヴァ』が表なら裏の平成の代表作。
わたしとしてはそう言っても言い過ぎではないと思いますが、
これも個人的なので賛同は求めません。
だだ、このSNS時代に『lain』をテレビ放送して、
リアルタイムでの反応を見てみたい気がします。
もしかしたらネットに20余年を経て、
レインが降臨してくれるかもしれませんから。

『lain』を含めてこの時代は、
テレビ東京を中心に深夜アニメが一気に増えた時代でした。
『エルフを狩るモノたち』が
一応は最初の深夜アニメと言われていて、
『星方武侠アウトロースター』、『トライガン』、
『吸血鬼美夕』、『MAZE 爆熱時空』等々の深夜アニメが
放送されてはLDなりビデオなり出始めのDVDが
買われることでリクープするビジネスモデルが
作られていました。

人気になり始めたマンガが映像となって
動く楽しみをまた味わえる。
そんな思いで次に何がアニメ化されるか見守っていた記憶もあります。
あの独特なメカ表現で名を知られる大張正己が
キャラクターもデザインした『VIRUS』という深夜アニメもありました。
『機動戦士ガンダム00』の水島精二監督によるデビュー作
『ジェネレイターガウル』ともども、Blu-ray化を望む作品です。

もちろん、
夕方からゴールデンにかけても『少女革命ウテナ』があって、
『劇場版美少女戦士セーラームーンR』の絢爛として
繊細な演出が話題となった幾原邦彦が、
宝塚をアングラで描いたような美少女百合バトルを見せてくれました。
実写化が進められている『カウボーイビバップ』も
WOWOWでの全話放送前に一部がテレビで放送されました。
最後に放送された総集編「ろくでなしブルース」は
パッケージに入らない伝説の回となっています。

『Fate/Grand Order』の大ヒットで
1000億円企業となったアニプレックスが、
靖国どおりに面したビルの一室に
SPE・ビジュアルワークスとして誕生し、
『はれときどきぶた』などを作り始めたのもこの頃です。
当時、今ほどの規模になると誰が予想したでしょう。
20年で業界地図は塗り替えることができるのですね。

そうしたテレビを横目に、
アニメーション映画に大爆発が起こりました。
宮崎駿監督の『もののけ姫』です。
平成元年の1989年に『魔女の宅急便』を作り、
3年後に『紅の豚』を手がけた宮崎駿監督が
5年ぶりに送り出して来た大作は、
興行収入で193億円という当時の最高額を叩き出して
スタジオジブリの名とともに、
宮崎駿監督の名前とそしてアニメーション映画という存在を、
エンターテインメントの最前線へと押し出しました。

大ヒットブランドとしてスタジオジブリの名前が確立し、
ディズニーやピクサー以外の日本のアニメーション映画を、
子どもだけでなく大人も劇場で見るといった習慣も確立されました。
今、劇場のアニメ映画が老若男女でいっぱいになる源流が、
ここで育まれたとも言えそうです。

書き残したことが山とありますが、
このあたりを限界として1989年-1998年編を終わります。

引用元:https://jp.ign.com/heisei-anime/35147/feature/1989-1998

まとめ

このように、
『平成』をアニメの視点で語るこの記事。
とても勉強になりますね。

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