コンセプトが異なる「iPhone 12 Pro Max」と「Xperia 1 II」のカメラで撮り比べ どちらが優秀?

日本で人気の2大ハイエンドといえば
「iPhone 12 Pro Max」と「Xperia 1 II」。
実はこの2機種、
「コンピュテーショナルフォトグラフィー」を前面に押し出した
Apple vs デジタル一眼ライクなカメラを目指す
ミラーレス一眼の雄ソニーという、
カメラに対するコンセプトが大きく違うスマートフォン。

さらに、
どちらもトリプルカメラを搭載していますが、
3つのカメラそれぞれの焦点距離(画角)が両者で異なっています。

これらの違いを含めて、
両者を比べつつ見ていきたいと思います。

同じトリプルカメラ同士でも焦点距離が被らない

まずはそれぞれのカメラの違いから。

どちらも超広角・広角・望遠の3つのカメラを搭載していますが、
35mm判換算時の焦点距離が違うのが面白いです。

トリプルカメラ同士。
一見、iPhone 12 Pro Maxの方が1つ1つのレンズがでかいですが、
カメラユニット自体のサイズとは関係なかったりします

超広角カメラはiPhone 12 Pro Maxが13mm相当でXperia 1 IIが16mm相当。
画素数はどちらも1200万画素です。

センサーサイズはXperia 1 IIの方が大きいと思われますが、
画質面での差はありません。
むしろ、
iPhone 12 Pro Maxの方がスマートHDRがよく効いていて鮮やかに見えます。

iPhone 12 Pro Maxの超広角カメラ。
13mm相当のワイド感はさすがです。
メリハリが効いているくっきり派
Xperia 1 IIの超広角カメラ。
16mm相当とこれでもかなりの超広角。
色はナチュラル派で無理に派手にしていません

メインとなる広角カメラはiPhone 12 Pro Maxが
26mm相当と超広角カメラのちょうど2倍に。
Xperia 1 IIはそれよりやや広角の24mm相当。
今、デジタル一眼の標準ズームレンズが
「24-70mm」なのでそれに合わせた格好です。

センサーサイズはXperia 1 IIの方が少しだけ大きい(1/1.7型)。
スマートフォンとしてはかなり大きめです。

撮り比べてみると、
左端に写っている碑(いしぶみ)に差が出ています。

iPhone 12 Pro Maxの広角カメラ。色もディテールもキリッとしています。
特に青空にはこだわりがあるような気がします。
左端の碑が明るいのに三重塔のシャドー部が
ギュッと締まっているのがポイント
Xperia 1 IIの広角カメラ。本来、影になっている石碑はこのくらい暗い。
全体に派手すぎないナチュラル派

望遠カメラはiPhone 12 Pro Maxが
65mm相当(iPhone 12/12 Proより少しだけ望遠)、
Xperia 1 IIは70mm相当。
iPhoneが広角カメラの2.5×なのに対し、
Xperiaは3×弱。
Xperia 1 IIの24mmの次が70mmってのは
ちょっとその中間が欲しくなる感じ。

センサーサイズはiPhoneの方がちょっとだけ大きい。

65mm相当のiPhone 12 Pro Maxの望遠カメラ。広角カメラの約2.5×
70mm相当のXperia 1 II。iPhoneよりちょっと望遠

AF性能はどちらが優秀?

Xperia 1 IIは、
3D iToFセンサーが全体をスキャンして、
撮りたい被写体が中央になくてもそこに合わせてくれるのが
たまらないのですが、
iPhone 12 Pro Maxも被写体が中央になくても合わせてくれます。
どっちもちょっと前に比べるとかなり賢い。

ここでは分かりやすい人物編と動物編で比べてみます。
どちらも人物を認識したらちゃんと顔に枠が出て
それに合った撮影をしてくれます。
iPhone 12 Pro Maxは顔に黄色い枠が現れます。

広角や望遠レンズのときは、
フレームの外側も半透明で表示してくれるのがミソ
(広角の場合は超広角カメラの、
望遠の場合は広角カメラの画像をうまく重ねて広い範囲を見せています)。

iPhone 12 Pro Maxの人物検出。顔を見つけたら黄色い枠が出ます
iPhone 12 Pro Max。
ちょっとハイライト部を抑えすぎちゃったかなという感はありますが、
背景の給水塔や団地はいい感じ

対してXperia 1 IIは瞳検出。
緑の枠が瞳に現れます。
このくらい離れていてもOKなのはさすがです。

このサイズでもちゃんと瞳を見つけて認識してくれるのはさすがです
Xperia 1 IIで瞳検出して撮影。
顔も日差しのあたっている感じがよく出ていて爽やかで好感が持てます

Xperia 1 IIの場合はさらに、
「Photography Pro」という写真専用アプリが別途用意されています。
標準カメラアプリとは別に、
よりデジタル一眼(同社のα7シリーズ)に近い、
自分であれこれ操作したい人用のアプリです。

こちらで「AF-S」モードにしたときは、
カメラを向けると顔全体を見つけ
(この時点ではまだAFは働いていません)、
シャッターボタンを半押しにすると
(あるいはAF-ONをタップしてAFを動作させると)、
瞳に枠が現れます。

Photography Proのメリットは、
広い画面を各種設定に開放していること。
露出補正はデカくて操作しやすいですし、
AFモードや連写モードも画面上のボタンですぐセットできます。

ただ、画面を見ると分かる通り、
「シャッターボタン」が画面にありません。
撮影はボディー側面についているボタンを使います。

撮影時の体勢がこれだけ違います。

標準カメラアプリの撮影風景。シャッターボタンをタップして撮影
Photography Proの撮影風景。
画面にシャッターボタンはなく、
ボディーのシャッターボタン(半押し対応)を押して撮ります

Photography Proの方は画面を効率よく使っていて
操作しやすくてよさげですけど、
縦位置での撮影はしづらいです。

縦位置にしたら縦位置用のデザインに
切り替わるとかあるとよかったのに
と思いました
Xperia 1 IIのPhotography Proで
縦位置で撮影

ついでに、
縦位置で撮ったiPhone 12 Pro Maxの写真もどうぞ。

iPhone 12 Pro Maxで撮影。
光が柔らかいときは
写りもナチュラルでいいです

続いて動物。
iPhone 12 Pro Maxは動物を見つけると、
その体全体に黄色い枠が現れて教えてくれます。

iPhone 12 Pro Max。
人の顔のみならず猫を見つけたときも、こうして黄色い枠が出ます
iPhone 12 Pro Maxでうちの猫。フォーカスはちゃんと顔に合っています

Xperia 1 IIの場合、
通常のカメラアプリでは動物認識はありません。
Photography Proを使うと動物の瞳認識もしてくれます。
動作は人物のときと同じです。
最初は顔を見つけるだけです。
AFを動作させると瞳に緑の枠が表示されます。

AF-ONで猫の瞳を追いかけてくれます。これはいいですね
Xperia 1 IIで猫。フォーカスはもちろん猫の瞳に。
もうちょっと明るく撮れたらうれしかったかな

外で猫を撮るなら望遠カメラの出番かなってとこで、
外猫も撮り比べ。

iPhone 12 Pro Maxの望遠カメラで猫
Xperia 1 IIの望遠カメラで猫

リアルタイム瞳AF(被写体が動いても瞳に合わせ続ける)や
動物瞳AFはPhotography Proのみの機能なので、
標準カメラアプリと使い分けるのが重要です。

Xperia 1 IIは人物も動物も分け隔てなく瞳認識をしてくれますが、
そのベースとなったソニーのα7はあらかじめ検出対象が
人物か動物かを指定しなきゃいけません。
そういう意味ではXperia 1 IIの方が便利。

速さを比べてみる

Xperia 1 IIはPhotography Proを使った場合、
最高でAF追従の秒20コマ連写ができるといいます。

実際、
連写速度はどのくらい速いのか。
iPhone 12 Pro Maxと比べてみました。
条件をそろえるために、
延々とプラレールを走らせての撮影です。

まずiPhone。
イマドキのiPhoneはシャッターボタンを
左(横持ちの場合は下)へスライドすることで連写が始まります。

iPhone 12 Pro Maxで連写するときはシャッターボタンをスライド。
ただの長押しだとビデオ撮影が始まります

そして真ん中の車両
(目立つように千代田線の車両でロマンスカーVSEを挟んでみました)
が出てから通り過ぎるまで何コマ撮れるかチェックします。

iPhone 12 Pro Maxでの連写結果を並べてみました。
中央の白い車両が通過する間に13コマ撮れました

続いて、Xperia 1 II。
室内での撮影なのでシャッタースピードが落ちて
どうしても列車が大きくぶれて写ってしまいます。

そこでPhotography Proならではってことで
シャッタースピードを1/500秒に上げて撮ってみました。
これができるのがPhotography Pro。

Xperia 1 IIのPhotography Proでシャッタースピード優先モード

結果はXperia 1 IIの圧勝。

真ん中の白い車両が通過する間に26コマ撮れていました。
iPhone 12 Pro Maxの2倍

もう1つ、
あまりなじみがない速さチェックをしてみます。

それはシャッタータイムラグ。
デジタルカメラってイメージセンサーが捉えた信号を
処理してから画面に表示するので、
どうしてもそこでタイムラグが発生します。
さらに、
その画面を見ながら人間がシャッターを押すので、
人間のタイムラグが発生し、
さらにシャッターを押してから実際に撮影されるまでのタイムラグがあります。

そこでiPadでストップウォッチを走らせ、
5秒ごとに「スマートフォンの画面を見ながら、
画面に5の倍数が見えた瞬間に撮影する」
というルールで5回撮影。
一番速いのと遅いのを除いた3つの平均を出してみました。

iPhone 12 Pro Maxは平均で「0.20秒」の遅延。

iPhone 12 Pro Maxの測定結果

Xperia 1 IIは平均で「0.41秒」の遅延。

Xperia 1 IIの測定結果

iPhoneめちゃ速い、
というかタイムラグがほとんどありません。

これ、
その辺の情報は公開されていないので推測ですけど、
Xperia 1 IIの方が普通で、
iPhoneは常に裏で撮影をしていてタイムラグ分を考慮して、
ほんのちょっと過去の画像を記録しているんじゃないかと思っています。
だからシャッターチャンスを逃しにくいです。

スマートHDRとオートHDRとHDRなしのどれが自然?

コンピュテーショナルフォトグラフィといえば象徴的なのがHDR。
Xperia 1 IIもオートHDRがあるのでどのくらい差があるか気になるよね、
というわけです。

iPhone 12 Pro Max。
青空の下、池之上にある弁天堂を畔(あぜ)から撮ってみました。
画面の左外にあります。スマートHDRが仕事しました
Xperia 1 IIで同じシーンを。
欄干や弁天堂の赤色が浅いのが気になりますが、ちゃんとHDRが働いています

さて、
Photography Proはどうでしょうか。

実はPhotography Proでも「AUTO」にするか、
あるいはメニューからオートHDRが効くんですけど、
PhotographyProならではの機能に制限がつきます。
AUTO時はフルオートなので露出補正もできなくなりますし、
それ以外のモードではRAW撮影や連写ができなくなります。

今回は全てJPEGで撮っているがRAWで撮ることもできます。
RAWデータの形式はDNG
(iPhone 12 Pro/12 Pro MaxのProRAWと同じ)です。

Photography Proの設定で、DROかオートHDRを選べます
RAWで撮るときは連写とオートHDRは使えない、と書いてあります

で、
HDRに頼るのならPhotography Proじゃなくてもいい気はするわけで、
今回はソニーのカメラでおなじみの
DRO(ダイナミックレンジオプティマイザー。階調を調整してくれる機能)
で撮影しました。

Photography ProでHDRを使わずに撮影。空の一部が白飛びしてしまっています

この3つのうちどれがいい?
といわれると困ってしまいます。

もう1つ面白い結果を。
逆光の人物写真です。
比べやすいよう縮小して1枚にまとめてみました。

左上がXperia 1 IIの標準カメラアプリ。
オートHDRが働いて夕空を頑張って残すのはいいですけど、
肝心の顔色が暗い。
右上はXperia 1 IIのPhotography ProでHDRなし。
空は白飛びしていますけど写真としては
不自然じゃなくていい感じです。
iPhone 12 Pro MaxはHDRが効いて流のはいいですけど、
肌がちょっと人工っぽい。

上の2つがXperia 1 II。右上がPhotography Proです。下がiPhone 12 Pro Max。
写りがそれぞれ違っていて面白いです

難しいものです。
HDRしないで背景は真っ白にトバしちゃった方が
自然な写りになっているともいえます。

夜の撮影へと行きましょう。
どちらも同じ場所から日枝神社の鳥居を撮ったもの。

iPhone 12 Pro Maxで夜の鳥居。
これは木々もほんのり見えていてキレイな写り。都会の夜は明るかったです
鳥居が白い! 背景はかなり真っ暗だけど写りは良し

でもよく見ると、
iPhoneのレンズの欠点がちょっと出ています。

鳥居の上のゴーストです。
これ、
参道の階段沿いにあるライトが映り込んでしまっています。
Xperia 1 IIはカールツアイスのT*レンズを使っているおかげか
そうじゃないのか分かりませんけど、
ゴーストが出ていません。

残念、iPhone12 Pro Maxはゴーストが写ってしまいました

Xperia 1 IIは全くゴーストがない、
というわけではないですけど、
出ても弱くて目立たないのは確かです。

もうちょっと暗い場所へ移動してナイトモード。
面白いので3つ一気に小さくして並べてみました。
下の段の一番明るいのがiPhone 12 Pro Maxのナイトモード。
イマドキのナイトモードっぽい明るさです。
右上がXperia 1 IIのPhotography ProのPモードで撮影したもの。
いい感じに夜です。

左上がXperia 1 IIの標準カメラアプリの夜景認識、右上がPhotography Pro。
下がiPhone 12 Pro Maxのナイトモード

こうして見ると、
実はHDRをかけてないPhotography Proで撮ったものが
一番自然でいいんじゃないかという気がします。
他の2つのように連写+合成の処理をしてないので
よく見るとノイズは出ていますけど、
パッと見た感じ、
夜っぽさがたまりません。

以上、
それぞれで差が出たシーンや
特徴あるシーンを中心に引っ張り出してみたので、
最後に平和なやつを。

外光が差し込む明るいお店でハンバーグ。
Xperia 1 IIの標準カメラアプリは料理として認識。
Photography ProはPモードで撮っています
(AUTOで撮れば料理として認識します)。
Xperia 1 IIがなかなか良いです。

iPhone 12 Pro Maxでハンバーグ。派手すぎなくて良い色
Xperia 1 IIの標準カメラアプリで料理と認識。
皿の白さと料理の赤身のコントラストがよく出ていておいしそう
Xperia 1 IIのPhotography Proでハンバーグ。
料理認識した標準アプリとの差はほとんどない?

長くなりましたけど、
最後に背景ぼかしのポートレートモードを。

Xperia 1 IIは「被写体から離れてください」と言われましたけど、
ちゃんと背景がボケていたので謎。

iPhone 12 Proの1xでポートレートモード。
ライティングは自然光のままで。

Xperia 1 IIの標準カメラアプリで背景ぼかし。
もっと離れろと言われてしまいました。

取りあえず「離れてください」と言われないくらいの距離で撮影。

iPhone 12 Pro Maxでポートレートモード。
背景のボケ方がなかなかいい感じ。

Xperia 1 IIの背景ぼかし。
ちょっと急にボケすぎな感じはあるかもしれません。

背景をぼかして撮るなら、
iPhone 12 Pro Maxの方が扱いやすくて優秀かなと思います。

なお、
Photography Proは背景ぼかし機能を持たないので、
これを使いたいときは標準カメラアプリが必要です。

コンピュテーショナルフォトグラフィー vs ナチュラル派の結果は?

スマホのカメラって大きさに制限があるので、
どうしても大きなイメージセンサーと
大きなレンズを持つハイエンドのデジタルカメラに
基本性能で太刀打ちできません。
でもデジタルカメラよりずっと高性能なプロセッサを積んでいるので、
デジタル処理は得意。

そこで「コンピュテーショナルフォトグラフィー」で
その差を乗り越えようというのは方向性としてすごく良いです。

でもソニーはα7という今を代表するミラーレス一眼を持っており、
あえて(別アプリではありますが)スマートフォンに
「デジタルカメラとしての絵づくりや操作性を」
という斬新な方向にかじを切ってきました。

そして今回、
iPhone 12 Pro Maxと
Xperia 1 IIと
Xperia 1 II+Photography Proで撮り比べてみたわけです。

確かに屋外での発色やメリハリはiPhone 12 Pro Maxが際立っていましたが、
意外にPhotography Proで撮った方が不自然さがなくて
好感が持てるシーンもありました。

それぞれ得手不得手があるので一概にどっちがいいってことはないけれども、
なかなか面白い結果でした。

Photography Proはもうちょっと操作感をブラッシュアップすれば
もっとよくなりそうです
(取りあえず縦位置で撮るときには縦位置用画面になってほしい)。

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引用元:https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2101/10/news001.html

まとめ

この比較記事は面白かったです。
特にカメラを中心にスマートフォンを考えている方に見てほしいですね。

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