なぜキャリアの5Gとは別に「ローカル5G」が必要なのか? メリットと課題を整理する

ITmedia Mobileによりますと、

5Gはキャリアが展開するものと思われがちですが、
実はエリア限定ながら、
キャリア以外でも自由に5Gのネットワークを構築できる
「ローカル5G」という仕組みも存在します。
特に法人での5G活用においては、
ローカル5Gに高い関心が寄せられているようで、
既に多くの企業が参入を打ち出していますが、
その展開には課題もいくつかあるそうです。

Wi-Fiより広範囲をカバーできるローカル5G

2020年3月に3キャリアが相次いで
5Gの商用サービスを開始し、
いよいよ国内でも誰でも5Gによる通信を
活用できるようになりました。
当面エリアは非常に狭いことから、
多くの人が5Gを活用できるようになるには
しばらく時間を要しますが、
今後エリア整備が進むにつれ、
5Gの活用が広がっていくことでしょう。

ですが5Gのビジネス活用という視点で見た場合、
キャリアが展開する5G以外にもう1つ、
大きな盛り上がりを見せている5Gが存在します。
それがエリア限定で展開する5Gのネットワーク
「ローカル5G」です。

ノキアソリューションズ&ネットワークスが2019年12月11日に
IIJ(インターネットイニシアティブ)や丸紅など5社と提携し、
日本でのローカル5GやプライベートLTEの拡大を進めるなど、
ローカル5Gを巡る各社の動きは活発化してきています

従来ビジネスで活用される無線ネットワークといえば、
Wi-Fiが多くを占めています。
しかしWi-Fiは狭い場所をカバーするのには向いていますが、
大規模な工場など面積の広い建物や、
屋外をカバーするのにはあまり向いていません。

だが5Gはもともと携帯電話向けの通信規格であるため、
ハンドオーバーの仕組みが整っているなど
広範囲をカバーするのに適しています。
それに加えて高速大容量、超低遅延、
多数同時接続といった3つの特徴を備え、
幅広いビジネス用途に活用できる
ネットワークであることから、
産業用途にWi-Fiの代わりにローカル5Gを活用しよう
という動きが進みつつあるわけです。

実は欧米などでは5Gに先駆けて、
4Gの技術を用いてエリア限定の
無線ネットワークを構築する
「プライベートLTE」の活用が進んでおり、
既に工場や港湾、
鉱山などでのデジタライゼーションに活用されています。
日本でもこれまで企業の内線に用いられてきた
「自営PHS」の後継規格として、
ローカルLTEの仕組みを用いた
「sXGP」を活用する動きが進みつつあることから
徐々に知られるようになってきていますが、
ローカル5GはそうしたプライベートLTEの
延長線上にあるものといっていいでしょう。

ローカル5Gの前身というべきプライベートLTEは、
国内でも自営PHSの代替となる「sXGP」規格として導入が進められています。
写真は「CEATEC 2019」に展示されていた富士通のsXGPシステム

キャリアに左右されないのが最大の魅力

とはいえ、
5Gは既にキャリアが展開しており、
今はエリアが狭いですがいずれは
全国津々浦々をカバーする予定です。
それだけに、
なぜ携帯電話の5Gとは別にローカル5Gが必要なのか?
と考える人もいるかもしれません。

その最大の理由は、
独立したネットワークであることです。
キャリアの5Gネットワークは
非常に多くの人が利用するため、
例えば災害が発生したり、
大きなイベントが開催されたりしたときは
ネットワークが混雑して輻輳(ふくそう)が発生し、
接続しづらくなることがあります。
ですが、
例えば建設機械の遠隔操作に
5Gを活用しているようなケースでは、
ネットワークが外部環境に左右されてしまうと、
その都度機器の制御がうまくできなくなってしまい
大きな問題が発生してしまうことから、
外部から切り離され独立したネットワークが
必要となってきます。

また企業によっては、
自社の情報を外部に漏らしたくないなど
強いセキュリティを求めることもあり、
例えば工場内のネットワークを
外部のネットワークとは完全に切り離したい
というニーズも少なからずあります。
そうしたニーズに応える上でも、
外部環境に左右されないローカル5Gの存在が
重要なのです。

そしてもう1つ、
ローカル5Gの大きなメリットとなるのが、
キャリアの動向に左右されることなく
5Gのネットワークを活用できることです。
各社の発表によると、
キャリアの5Gネットワークが全国に整備されるには
1年半から2年以上は待つ必要がありますし、
整備が進んでもなお、
山間部などではカバーがなされない場所も
出てくることが考えられます。

だがローカル5Gなら、
必要な場所にピンポイントで
5Gのネットワークを構築できます。
それゆえキャリアのエリア整備の動向を気にする必要なく、
必要なときに必要な場所で5Gのネットワークを構築し、
活用できるわけです。

ローカル5Gは外部のネットワークの影響を受けることなく、
またキャリアの方針に左右されず
必要な場所に構築できる点が大きなメリットとなります。
写真はCEATEC 2019のNECブースで展示されていたもの

比較的先行している日本のローカル5G

日本では
「キャリアの5G商用サービス展開が遅れている」
といわれていますが、
その分ローカル5Gの展開は進んでいるとされています。
実際、
総務省は2019年12月24日に
ローカル5Gの電波免許申請の受付を開始しています。

総務省はローカル5Gに関して、
キャリア向けに割り当てたものとは別に、
4.5GHz帯を200MHz幅、
28GHz帯を900MHz幅確保しています。
ですがこれらはいずれも衛星通信など
既存のシステムと調整が必要な帯域であるため、
現在割り当てられているのは、
既に調整が済んでいる28GHz帯の一部
(100MHz幅)のみとなっています。

日本ではローカル5Gには4.5GHz帯と28GHz帯を割り当てていますが、
他のシステムとの調整が必要なことから、
現在免許申請を受け付けているのは、
調整が済んだ28GHz帯の一部に限られています

ですがそれでも、
ローカル5Gに商機を見いだした企業は多いようで、
免許申請の受付開始当初から
多くの企業や自治体が申請を実施。
例えば総務省の関東総合通信局では、
NTT東日本やジュピターテレコムなど
固定通信関連の企業の他、
NECや富士通など通信関連の技術を持つ企業、
さらには東京都なども申請を実施しています。

富士通のプレスリリースより。
同社は国内で初めて
商用のローカル5G無線局の
免許を取得しており、
「富士通新川崎
テクノロジースクエア」
の敷地内でローカル5Gの
システム運用を開始しています

そして2020年3月27日には、
富士通が国内で初めてローカル5Gの免許を取得し、
同社の富士通新川崎テクノロジースクエアで
ローカル5Gシステムの運用を開始したことを発表。
まずは5Gとカメラ、
AIを活用して不審な行動を検知する
セキュリティシステムを実現するとしており、
今後は同社のネットワーク機器の製造拠点である
栃木県小山市でも免許を取得し、
スマートファクトリーの実現に向けた
検証を進める計画だといいます。

ちなみに、
日本ではキャリアがローカル5Gの免許申請を
することはできませんが、
MVNOが申請することは可能となっています。
例えば「mineo」を展開するオプテージは、
2020年3月10日にローカル5Gの
実験試験局免許の交付を受けています。
「OCN モバイル ONE」を展開する
NTTコミュニケーションズも、
2020年3月26日にブリヂストンとローカル5Gを活用した
製造現場のデジタルトランスフォーメーションに向けた
検証を実施すると発表しました。
このように、
MVNOがローカル5Gに関する取り組みを
積極的に打ち出すケースも増えています。

現状の課題はNSAとノウハウの不足

自由度が高く展開する事業者の幅も広いことから、
スマートファクトリーなど産業向けを中心として、
ローカル5Gに高い期待を抱いている人や企業、
自治体は多いようですが、
ローカル5Gにも課題はいくつかあります。
中でも大きな課題といえるのは、
現在割り当てられている28GHz帯は
ノンスタンドアロン(NSA)での運用が
求められることではないでしょうか。

5Gの法人利用では、
高速大容量通信よりも低遅延などに
期待が寄せられている部分が大きい。
にもかかわらず、
ローカル5Gはゼロから構築するネットワークでありながら、
最初からノンスタンドアロン(NSA)運用が
できないのは残念な部分だといえます。

NSA運用が求められるということは、
5Gだけでなくそのベースとなる4Gのネットワークも
用意する必要があることも意味しており、
そのためには4Gの周波数帯も必要になってくることから、
事業者にかかる手間とコストは
それだけ大きくなってしまうのも課題です。
それゆえ京セラのように、
あえてSAでの運用が可能な帯域の免許割り当てまで
参入を待つ企業もいます。

ちなみに総務省は、
ローカル5G事業者が4Gのネットワークを
運用するに当たり、
地域BWA向けに割り当てられている
2.5GHz帯の帯域を活用できるようにする方針を
打ち出しています。
地域BWAは、
ケーブルテレビ会社などが特定の地域限定で提供している、
WiMAXやAXGP方式による
BWA(Broadband Wireless Access)サービス。
この帯域が使われていない地域が多く存在することから、
そうしたエリアでローカル5G向けに
活用してもらおうとしているわけです。

現在割り当てがなされている28GHz帯はNSAでの運用が求められ、
5Gだけでなく4Gの設備が必要になるなど手間とコストがかかります。
そこで京セラは、
SAでの運用が可能な4.5GHz帯の割り当てに照準を合わせ、
基地局などの開発を進めています

もう1つ、
ある意味でローカル5G最大の課題といえるのは、
ローカル5Gに参入する企業が必ずしも
携帯電話のネットワークに詳しいわけではなく、
5Gのノウハウを持ち合わせているとは限らないことです。
それゆえ実際のところは、
ローカル5Gの構築や運用に関して、
キャリアの力を借りるケースが少なからず
出てくるものとみられています。

キャリアはローカル5Gに直接参入できませんが、
参入企業への技術協力などは可能であることから、
キャリアがローカル5Gの下支えをすることは
自然な流れでもあります。
ですが市場競争上の観点から見れば、
ローカル5Gでもキャリアの影響が大きくなってしまう
可能性もあるでしょう。

またキャリア側も「おでかけ5G」や「キャリー5G」など、
一時的に5Gネットワークを利用できる設備を
提供するなどして、
ローカル5Gが獲得するニーズを先取りしよう
という動きも進めており、
こうした点もローカル5G事業者にとっては
脅威になるでしょう。
そうしたキャリアの動きに、
ローカル5Gの免許割り当てを受けた各社が
どのような方針を取ることになるのか、
今後の動向が注目されるところです。

ソフトバンク系のWireless City Planningが、
2020年1月に大成建設と実施した、
トンネル工事現場における作業員の安全管理を目的とした
「i-Construction」の実証実験説明会より。
実験には可搬型の5G基地局「おでかけ5G」が用いられているといいます

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引用元:https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2005/08/news057.html

まとめ

早く5Gを体感したいのですが、まだまだ先になりそうです。
ですが、法人や企業の視点から見れば、
『ローカル5G』という選択肢があるそうです。
この『ローカル5G』には、
事業者に様々なメリットがあり、
そこを見据えたビジネスも展開されていくそうです。
多種多様な企業が切磋琢磨しあい、
より良い未来を築いていって欲しいですね。

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