対応スマホを買うべきか?今春から始まる5Gの具体的なサービスの内容と展望

@DIMEによりますと、

スマートフォン業界の最前線で
取材する4人による、
業界の裏側までわかる「スマホトーク」。
今回は5Gの今後の展開について
議論するそうです。

日本で5Gの展開がさらに遅れる!?

房野氏:
5Gについては期待と焦りの両面から
語られることが多かった2019年でしたね。

房野氏

法林氏:
5Gに対する世の中の
異常な盛り上がりがありますね。
すでに4G端末の買い控えがあります。
何件も相談のメールが来ます。
端末の調子が悪いから
買い換えようと思うんだけど、
友だちに5Gが2020年に始まるから、
今は買わない方がいいよって言われます。
待った方がいいでしょうか、とか。

法林氏

房野氏:
現状で5Gのスマホは“買い”でしょうか、
“待ち”でしょうか。

石川氏:
もしかしたら5Gが遅れるんじゃないか
という説が流れているらしいんです。
2020年3月に5Gが始まるといわれているけれど、
本当に3月なのかと言っている人が出始めています。
端末は世界的に出回っているけれど、
ネットワークが遅れていると言う人がいました。

石川氏

石野氏:
3月に始めると言っていない会社もありますけどね。
ドコモは2020年春としか言っていません。

石野氏

房野氏:
3月というと、
2019年度内に始めるという意味なのでしょうか。

法林氏:
そこまでは言っていないけど、
基本的に春。
携帯電話会社のスタンスとしては、
2020年の春商戦に当てるために、
当初の目論見として3月までに
という考えがあったと思います。
でも現実的にそれはたぶん無理で、
4月に入る可能性は十二分にあります。
ましてや春商戦で端末を買う人たちは
5G端末なんて必要ない人たちが
ほとんどですし。

石川氏:
ただ、総務省に出している
計画書では3月と書いています。
3月に遅れると総務省に怒られます。
なので無理やり3月に始めます。

法林氏:
限定的な感じですよね。

石川氏:
限定的な感じで始めることは、
あり得るかもしれません。

石野氏:
3月開始と言い切っているのは
KDDIとソフトバンク。
楽天は6月、
ドコモはぼかしている感じですね。

法林氏:
2020年度予算で、
5Gに関する投資を減税対象にする
という案が自民党内で上がっています。
その点を考えると、
4月以降に限定的に、
例えば東京のこの地域という形で
5Gを提供するとか、
そういった形で見せた方が政府に
納得してもらいやすいところがあります。
例の総務省の話じゃないですけれど、
相変わらずよくわかっていない人たちが
物事を決めているからこうなる、
というのがありありと見えてきています。

4G周波数で5Gエリア化できる「DSS」技術

石川氏:
各社、計画上、
基地局の数字を出していて、
KDDIは約4万局だったりするんですけど、
先日のクアルコムのイベント
(2019年12月3日から5日までハワイで開催された
「Qualcomm Snapdragon Tech Summit 2019」)
でも紹介されていた
「DSS(=ダイナミック・スペクトラム・シェアリング)」
という技術を使うと、
4Gの周波数で5Gの電波を吹くことによって
エリアを広げられます。
プラチナバンドの800MHzで
5Gの電波を吹くことによって、
一気に5Gエリア化するし、
4Gでも問題ないし、
ユーザーの動きに合わせて4Gの帯域を増やしたり
5Gの帯域を増やしたりできます。
こうした技術が入ることによって、
5Gのエリアが一気に広がるでしょうと。

ただ、日本では、
いわゆる「プラチナバンド」(700~900MHz帯)
で飛ばしている電波は、
4Gのために使いなさいという決まりで
電波を割り当てています。
そうなると、
DSSを導入するには法改正というか、
総務省で議論して、
4Gの周波数でも5Gの電波を飛ばしていいと
決めてからやらないといけません。
そうなると、
キャリアとしてはそれを待つのが得策だろうなと。
先ほどの税制の話もありますし、
できるだけ引っ張った方が楽に展開できます。
キャリアも、
ちらちら周りを見ているんじゃないかなと。

石野氏:
下手にサブ6GHz帯(6GHz以下の周波数帯)
を使ってエリアを作るよりも、
DSSを使えば、
今使っているエリアをそのまま5Gに
アップグレードできます。
かつDSSは、
自動的にリソースを見て4Gと5Gの割り当てを
変えていくような感じなんですよ。
あまり難しいことを考えずに
5Gのエリアを広げられます。
4Gを剥ぎ取って5Gにするわけではないので、
キャリアとしてもやりやすいです。

クアルコムのイベントでは、
DSSを入れたら5Gエリアカバー率が
96%くらいになるフランクフルトの事例が
紹介されていました。
なので、
それを待ちつつ、
一方では東京五輪もあるので、
ミリ波とかをスタジアムに
入れていく必要があります。
そういうこともやりながら、
という感じじゃないのかなと。

ドコモは5Gの基地局は
1年で1万とか言っているので、
サービスイン当初のエリアは狭いですよね。
一方で、
2020年から端末はほぼ5G対応になってきますし、
クアルコムのチップも、
Snapdragon 765はモデムと合わせた
ワンチップになっているので、
自然と5Gになる状況になるのなかと思います。
5G対応はどんどんミドルレンジにも広がっていきます。
ファーウェイは1000元(2020年1月時点で約1万5600円)
の5Gスマホを作ると言っていますし、
あまり意識しなくても、
機種変更したら自動的に5Gに変わっていく
感じになるかなと。

石川氏:
チップセット自体は4Gも5Gも変わらない。
あとはアンテナの違いなんですけど、
アンテナ自体のコストは安いものだから
……という話。
5G対応スマホの広がりは意外と
早いんじゃなかなって思います。
いろんなメーカーのスマホは5G対応が
当たり前になってくる可能性が出てきています。

石野氏:
そうですね。
Xiaomiも2020年は5G端末を
10機種以上出すと言っています。

石川氏:
いろんなメーカーが2020年後半くらいには
当たり前に5G対応になってきます。
当然iPhoneも5G対応になるでしょうし。

石野氏:
早く買ったとしても、
当初は4Gエリアで使って、
5Gエリアに入ったら5Gで
という使い方でもいいと思いますし。

房野氏:
音声の方式が変わったりはしないですか?

法林氏:
基本的には「VoLTE」と同じですね。
LTEでやっているのと基本的には
同じ仕組みで動くはずです。
3GからLTEに変わった時は、
割り当てられている周波数の何波かを3Gに残して、
何波かを4G LTEに割り当てていくという格好でした。
それをだんだんLTEに変えていきました。
今回はそのプロセスを踏む必要がありません。
日本でもDSSが使えるようになるなら、
移行しやすいと思います。

料金は金額がそのまま使い放題に?

法林氏:
世代が新しくなると、
何がどう変わるかという話がついて回ります。
LTEの時はスピードがポンと上がったけど、
それにはちゃんと理由があって速くなりました。
5Gの時に、
果たして5G対応端末になったから、
今使っている端末より
何か良いことがあるかといったら、
明確に見えればいいですけど、
なかったら変える理由がありません。

現状、
2019年に売られてきた5G端末を振り返りますと、
だいたい1割から2割値段が高かったです。
これがワンチップになれば、
さらに安くなるとは思いますけれど、
対応周波数が上がれば上がるほど、
アンテナ技術は難しくなります。
キャリアにアンテナ技術があるといっても、
実装するのはメーカーさん。
どの周波数までサポートするかということになると、
あんまり……
ってことになるかもしれません。

今、割り当てられている
一番上の周波数が28GHz帯ですけど、
この領域は一般の人が持つ端末で
実機で試したことがありません。
人が手に持った時にちゃんと動くかとか、
実験レベルでは確認しているけれど、
実機になった時にできるのか。
800MHzなどプラチナバンドは波長が長いので、
その波長に対応してアンテナを
伸ばすタイプがあったわけですけど、
2GHz以上になってくると波長が短くなります。
最適なアンテナの長さがどんどん短くなってきます。
スペースが狭い携帯・スマホ端末には
丁度いいサイズだったけど、
28GHz帯になるともっと短くなってきます。
だから、
よりたくさんアンテナを付けることによって
パフォーマンスを稼ぐことになります。
ただ、
一般の人が使う無線機器に
使われた事例がほぼありません。
ちゃんと動くかどうかは、
やってみないとわかりません。

通話料金面でもユーザーに
5Gのメリットがどこまであるかは疑問。
4G端末の人は月額5000円で100GBですけど、
5G端末の人は使い放題にできるのかといったら、
現実的にはできません。
4Gと5G、
どちらで通信しているかで
料金を変えるということが、
事実上できません。

石川氏:
4Gにつながろうが5Gにつながろうが、
料金を一緒にしないといけません。
4Gの時も、
4Gの料金になって3Gにつながっても
料金は変わりませんでした。
それと同じことになります。

法林氏:
3Gと4G両対応の端末で、
3Gしかつながらないところに行って、
使い放題だからといって
何時間も3Gで通信されたら、
キャリアにとっては泣きたくなるわけですよ。
だから新しいエリアを早く作りたいわけですけど、
世代によって料金を分けることは
現実的にはできません。
もちろん、
5G専用の端末を作って、
LTEにつながらず5Gだけにしか
つながらないようにすることも可能ですけれど、
それは現実的ではないので。

石川氏:
ただ、5Gでは大容量通信になるので、
使い放題は当たり前だと思います。

石野氏:
ドコモの吉澤社長もKDDIの髙橋社長も、
それは言っています。
KDDIは今から「au UNLIMITED WORLD」
と言っているくらいなので、
これで制限付きの料金プランが出てきたら
ずっこけますよ。

房野氏:
どんな料金プランが予想されますか?

石川氏:現状と同水準で、
たぶん使い放題になります。
今は20GBとか30GBのリミットがありますけれど、
たぶん同額なんじゃないかな。
ドコモの吉澤さんは数年前までは、
「5Gになったら、ちょっと料金を上げたい」
と言っていたんですけど、
このご時世、
ちょっとでも料金を上げたら、
菅さん(菅官房長官)にものすごく怒られるので。
一方で下げるわけにもいかないというか、
下げたくはない。
なので現状維持の料金だけど使い放題になると思います。
ギガホは今、
30GBが最大容量ですけど、
5Gになったら使い放題になるんじゃないかなと。

石野氏:
僕はちょっと料金を上げると思っています。
吉澤さんにインタビューした時に、
「au データMAXプラン」よりも安いですねと言ったら、
「5Gになってアンリミテッド(無制限)
になることを想定した料金設定にしている」
というような、
ちょっと値上げの含みをもたせた発言をしていました。
500円とか1000円とか上げて、
5Gだけ「Amazonプライム」の会費が付いてくるとか、
そういう形にして、
うまく値上げを納得させつつ
アンリミテッドに行くのかな
という感じがしています。

石川氏:
1000円高いけれどAmazonプライムと
DAZNがバンドルされているとか。
「コンテンツを別々に契約したら
2000円くらい高くなるけど、
コンテンツが一緒だと考えると安いから、
これにしよう」
という感じになるというか。
それでごまかすというか。
この間の、
Amazonプライムが1年間無料になる
という発表が典型的で、
1年間無料になるとなったら、
1年間ドコモを止めなくなるじゃないですか。
たぶんその傾向になります。

実際、
KDDIもNetflixをバンドルしたプランのおかげで
解約率が下がったという話をしています。
2年縛りの実施が厳しくなる中で、
コンテンツを一緒にしてユーザーを囲い込む
という流れになってくるのかな。
それによって、
使い放題でユーザーはなんとなく
納得する感じになります。

石野氏:
Amazonプライム無料が毎年更新されたら
解約しないですよね。

石川氏:
あれは絶対、更新するでしょう。
直近の話でいうと、
電気通信事業法の改正があって
端末割引が規制されたことで、
実は、キャリアにはお金が余っています。
端末割引にお金をかけられないから、
ああいったコンテンツやポイント還元に使います。
先日、
KDDIとテレ朝が組んで動画配信サービスの会社を
作るというリリースが出ましたが、
ああいった動画系コンテンツをキャリアが集めて、
それとセットにして料金を安くするというのが、
たぶん2020年のトレンドに
なるのではないかなって気がします。

石野氏:
お得感があっていいと思うんですけどね。
ドコモのAmazonプライムバンドルも、
僕はもともとギガホだったので、
勝手にAmazonプライムを無料にしてくれて、
もともと使っていた「ディズニーデラックス」も
勝手に割引してくれて、
実質値下げじゃんって。

石川氏:
そうそう。
ウチなんかも、
もうありがたい限りで。

石野氏:
月額だと1200円下がっていることになるんですよ。
1200円値下げって結構、
頑張っているなって思います。
使っていなかった人にとっては、
「抱き合わせかよ?」って印象に
なっちゃうかもしれないですけど。
もともと使っていた人にとっては値下げですし、
新たに使ってみて便利だなと思うんだったら
いいのかなって感じですね。
ディズニーデラックスは子どもに見せるのに
欠かせないというか。
毎晩、
見せろってせがまれるので解約できません(笑)

MVNOは新たな事業戦略が求められる

房野氏:
5Gになると、
MVNOはどう対応するのですか?

法林氏:
5Gになれば、
MVNOに貸し出すMNO側のメニューとして
用意しなきゃいけなくなりますけど、
借りるかどうかはMVNO各社の判断。
当然単価も違うと思いますし、
そこはどうするかはわからないですね。

石野氏:
5Gのノンスタンドアローン
(コアネットワークに4Gの設備を利用する)
だとコアネットワークは4Gと変わっていないから、
端末を用意されたら勝手につながっちゃう
可能性があります。

石川氏:
例えば、
MVNOで3GBのプランを契約していたとして、
ユーザーが5Gの端末を買ってくる、
SIMカードを入れてつないだら
ブワッとデータが流れて、
3GBを使い切っちゃうってこともあり得るので、
MVNOと5Gは相性が悪そうというか、
考えないといけない部分はあると思います。
MNOは使い放題が当たり前の世界になっていく中で、
ちまちま使う方法をちゃんと残しておかないと。
端末がしばらく4Gだけにしか
つながらないようにするとか、
MVNOのビジネスとしても5G時代に
どうやっていくかを考えないといけません。

石野氏:
そこから先は「ネットワークスライス」
(仮想的にネットワークを分割して、
さまざまな用途に応じたサービスを提供する技術)
が入って、
もうちょっとやりやすくなる可能性もあります。

石川氏:
今、議論が始まっているけれど、
帯域を借りて一般ユーザーにサービスを
提供するのではなく、
もっと別のやり方を採るMVNOが出る可能性もあります。
5GではMVNOのあり方が
変わってくるのかなと思います。

石野氏:
スライシングして、
丸ごと変えちゃうって手もあります。

石川氏:
MVNOが自分たちでコアネットワークを用意して、
そことつなぐとか。
つまり、
MVNO(仮想移動体通信事業者)から
VMNO(仮想通信事業者)になります。
帯域を借りるだけじゃなくて、
クラウドサービスみたいに、
ブラウザでポチポチ選択するとサービスを
提供できるみたいな話もあり得ますし、
単なる格安スマホっていうことでは、
5Gの時代にはマッチしないかなと思います。

石野氏:
そういうところに先行投資している
IIJとかNTTコミュニケーションズとかは、
ちゃんと将来を考えている感じがします。

石川氏:
そこをわかった上で、
いろいろと今、
考えている会社もあります。
格安スマホを安易に提供しているだけの会社は、
いずれ淘汰されていくんだろうなって気がします。

5Gで楽天モバイルはどうなるか

房野氏:
楽天はどうなりそうですか?

石川氏:
楽天は計画上、
2020年6月から5Gに対応していく
という話をしています。
彼らとしては、
4Gに対する投資はあまりしたくないのかなと。
現状、
4Gはauのネットワークに頼らざるを得ない、
しかも楽天の端末がauネットワークで
ローミングするとローミング手数料が
発生するので、
楽天としてはできる限り自前の
ネットワークにつなぎたい。
しかも、
ネットワーク効率を考えたら、
5Gネットワークにつながるように
端末をチューニングする、
という流れになっているのかな。

石野氏:
楽天はLTEだと1.7GHz帯を
20MHz幅しか持っていない。
これから追加される周波数は
5Gになっちゃうので、
彼らとしては5Gをやらざるを得ません。
LTEネットワークをひとまず全国に作った後は、
せっせと5Gネットワークを
作っていくしか手がありません。
そこは頑張らないとキツいなと思いつつ、
DSSが始まったら楽天はさらに不利になります。

石川氏:
DSSが始まったら3大キャリアは
全国一斉に5Gネットワークになります。
仮に楽天がDSSを導入したとしても、
1.7GHz帯でのメリットしかないので、
エリア展開としては広がりません。
他社より見劣りします。

石野氏:
本当にそうですね。
ただ、DSSの5Gは、
たぶん速度が遅いんですよね。

石川氏:
5Gは2020年から始まって、
数年は“なんちゃって5G”が続きます。
ノンスタンドアローンなので、
根っこは4Gです。
確かに通信速度は速くなりますけど、
5Gの3つの特徴の中の「超低遅延」に関しては、
あまり期待できません。
DSSで5Gネットワークが広がって、
コアを5Gにして、
ようやく超低遅延が利いてきます。
しかも、
エッジコンピューティングやミリ波も使うので、
5Gの価値が出てきます。
真の5Gは数年待たないといけません。
5G開始後数年は“4.9G”みたいな感じです。

石野氏:
3段階あって、
今はサブ6GHz帯を広げている段階。
第2段階でDSSを使ってさらに5Gエリアが広がり、
ミリ波も使われる。
その次にミリ波とDSSの5Gとサブ6GHz帯で
キャリアアグリゲーション
(CA:異なる周波数を束ねて通信速度を上げる技術)
しましょうと。
全然周波数の違うところを束ねる。
スポット的にそのエリアも通信が速くなる。
そんな展開が考えられます。

房野氏:
それは、
どのキャリアも共通なのでしょうか。

石野氏:
どうでしょう、
どこまでできるかによると思いますが。
ただ、
LTEもそんな感じで、
最初は低めの周波数でエリアを広げて、
だんだん3.5GHz帯とか
TD-LTEの2.5GHz帯を入れて、
スポット的にエリアを充実させつつ、
最後にCAをしました。
それと同じ展開といえば同じですが、
5Gでさらに周波数が高くなって、
速度が上がり、
遅延は下がりという感じなのかな。

石川氏:
2020年後半から2021年からが
1回目の5Gスマホの買い換え時というところ。
それから2、3年後、
2023年くらいに真の5Gが始まるので、
そのタイミングで買い換えていくのかな。

石野氏:
出る端末が、
どっちのモデムを積んでいるかに寄るな。

5Gでできることが明らかになっていない状況に懸念

法林氏:
根本的に間違っているところがあります。
通信技術が進歩するとユーザーが
ついていくと思っていること自体が間違い。
今の2人の話はクアルコムの説明に基づいています。
でも、
ユーザーが新しい技術に付いていかなかった事例が、
この数十年の通信技術の進歩の中でもありました。

5G端末を買うか買わないかという話でいうと、
僕は現実的に考えれば、
2020年は5G端末を購入する時期じゃないと思います。
またその先、
エリアが広がっていったからといって、
物事が変わっていくわけではありません。
5Gじゃなきゃできないこととか、
5Gだからアドバンテージがあることを、
キャリアや関連企業が明確に
打ち出せないない限りは、
「知らないうちに5Gにいなっていた、ふーん」
くらいのものにしかなりません。
何も生み出せないと思います。

XR(xReality:AR(拡張現実)やVR(仮想現実)
などの仮想空間技術を総称したもの)
の話もよく出てきますけど、
現実的にそれをみなさんが買っていくかどうか。
日本で一番普及したVRゴーグルは、
サムスンが配ったものと、
PSVR(PlayStation VR)でしょう。
HTC Viveに至っては、
もっとも利用されているのが業務用。
と考えると、
キャリアはXRだ、
VRだと騒いでいるけれど、
一般の人が買って家に置いておくことは当分ありません。
まぁ、
ゲームが好きな人が買うとは思いますけど。

石野氏:
FANZAの売れ筋はほとんどVRですよ(笑)

法林氏:
そういう用途はね……
それは特定用途。

今のモバイル業界で懸念しているのは、
ユーザーがお金を出すことに対して
見合うサービスを提供できるか。
新モデルになって型番が
1つ上がっただけの高額な端末や、
折りたためるだけで20万円以上する端末が
どれだけ売れるか、
それでユーザーにどれだけプラスになるか。
そんなにないわけです。
見合うものを提供できるかどうかに
気づけるかどうかが鍵じゃないですか。

5Gもしかりで、
料金は、
当面はそのままスライドされると思います。
普及しないとか盛り上がらないとは言いませんが、
見合うものを提供できる案が全然見えません。
相当まずい状況になっています。
でも、
特にテレビが5Gだと騒いでいることが問題。
遡って考えると、
日本はITリテラシーが低いといわれる要因も
そこにあると思います。
それを正していく力を
メディアが持っていないことは、
すごくまずい状況だと思います。
技術が進めば普及が進むと思っている人が
世の中に多過ぎます。

石野氏:
キャリアの打ち出すものは、
毎回外れていますよね。
3Gの時のテレビ電話、
LTEの時はなんでしたっけ……
ただまぁ、
通信スピードが速くなると、
そこに目を付けて出てくる企業や端末、
サービスがあります。
LTEであればiPhoneであり、
そこに乗っかってきたFacebookをはじめとする
SNSだったり動画サービス。
インフラが進化すると、
キャリアの思惑に乗らないようなところで
サービスが出現して、
進化したのがここ10年、20年でした。
キャリアの思い描いた通りにはいかない。

石川氏:
5Gがすでに始まっているアメリカも韓国も中国も、
5Gのキラーサービスがないわけですよ。
ただただ、
「5Gだ!」と世間が盛り上がっていて、
韓国は4月開始で500万台、
中国は11月から始めて年内には
2000万台販売されるだろうと言われています。
なので、
中身はないんですけど、
世界的に見ると5Gスマホが盛り上がっているな
という印象は確かにあります。

で、やっぱり重要なのは、
端末が普及すること。
端末を手にして、
それによってアイデアが沸いて
新しいサービスを作ってくれるところが
出てくるのだと思います。
キャリアがユースケースを作るのは限界があるので、
彼らがやるべきことは、
ちゃんと使い放題で使える料金プランを作ること、
さらには5Gのネットワークにつながる場所を作ること。
その両輪がしっかりすれば、
5G市場が立ち上がってくると思います。

石野氏:
LTEが始まった時に言われていたのが、
「キラーサービスは
アプリで計測するスピードテスト」(笑)。
だから5Gも最初はそうなるんですよ。

法林氏:
アメリカで5Gサービスが先行して始まった時に、
スピードテストの画面キャプチャが
たくさん出回っていました。
でも、
それは瞬間値なので意味がないんですよ。
それに気づかず、
喜んで報道している奴らが
本当にバカだなと思うわけですよ。

3Gから4Gになった時って、
色々なメリットはあったけれど、
裏側のメリットとしては回線交換を
しなくてもよくなったことが大きかったです。
4GではVoLTEになったことで、
ほとんどLTE上でなんでもできるように
なったのがよかったです。
端末がフィーチャーフォンから
スマホに変わってきたので、
使い放題に関しては仕組みが変わりました。
昔から考えたら容量は格段に上がっています。
その中でユーザーが何ができるかを
見つけていくことが大事だと思います。
端末のスペックばかり気にしても
意味がないですよ。

……続く!

次回は、
2019年のスマホを振り返る予定です。
ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)

Web媒体や雑誌などを中心に、
スマートフォンや携帯電話、
パソコンなど、
デジタル関連製品のレビュー記事、
ビギナー向けの解説記事などを執筆。
解説書などの著書も多数。
携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、
2003年に独立。
国内キャリアやメーカーだけでなく、
グーグルやアップルなども取材。
NHK Eテレ「趣味どきっ!はじめてのスマホ」
で講師役で出演。
メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」
を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。
独立後はケータイジャーナリスト/ライター
として幅広い媒体で活躍。
『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、
『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)
など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)

出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、
2002年からフリーランスライターとして独立。
携帯業界で数少ない女性ライターとして、
女性目線のモバイル端末紹介を中心に、
雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

引用元:https://dime.jp/genre/841365/

まとめ

最先端で活躍されている、ライターさん4人の対談。
1人の記事を取り上げるのとは別の感覚で、
面白かったです。
キャリアによる5Gの普及と、
ユーザーによる端末の普及は別なんだと、
改めて、現実を認識できました。

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